「未病」の概念 of 【未病の智慧】 - 病気になる前に治しておく、養生の智慧


未病の智慧 (C)未病の智慧

「未病」の概念

右下の写真は、明の時代の張介賓(ちょうかいひん)という医家が記した『類経』という医学書の一ページで、「未病」について解説しているところです。

この写真に出ている「未病」についての解説文を意訳してみますと、

「(未病について書かれた)この前篇は、聖人の予防の道を言ったものである。未だ病気になっていないものを治すので、治療に用いる力は少なくてすみ、それでいて病気を治す効果は大きい。」
「既に病気になってしまった後に薬を飲むということは、喉が渇いてから井戸を掘るようなもので、戦争が始まってから兵をそろえるようなもので、それでは遅すぎるのである。」

ということが書いてあります。

類経_未病.jpg以上のことからも分かるように、「未病」というのは、病気という目に見えてわかる状態になる前の、半健康・半病気の段階のことを指しています。

そして治療に関しては、病気になってしまってから治すには時間がかかるが、未病の段階であれば容易に治すことができるということを言っています。

さらに、そういった未病という早い段階で身体を手入れしていくことが聖人(物事の道理をわきまえた人のこと)の道であると、読む物の意識の改革を促がしています。

とかく我々は自分の身体をないがしろにしてしまうことが多く、病気になってからはじめて健康のありがたさを知ると言うことも少なくありません。こうなる前に、早い段階から身体をいたわって調整しておくこと、こういった心がけを持つことが「未病」の概念です。