「未病」と「予防」の違い
本章の前ページにも述べましたように、私たちの身体には、「健康」「未病」「病気」という三つの段階があると考えられます。そしてそれぞれの段階により適した対処方法があります。
それを図にすると、以下のようになります。
予防 |
病気にならないように、あらかじめ予想される病気への対処を健康のうちにしておくこと。インフルエンザワクチンの予防接種など。
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養生 |
普段の生活の中で生活の質を高めていくこと。老化防止のためなど、機能が衰えないようにすること。体操、適度な運動、呼吸法などがある。
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未病治療 |
病院の検査結果には出ないような心身の不調を積極的に回復していくもの。鍼灸などの代替医療、東洋医学が得意とする分野。
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治療 |
検査結果にも悪い状態が出て病名が付き、病院での治療(薬や手術など)が必要なもの。西洋医学が得意とする分野。
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上図からも分かりますように、心身ともに健康である状態には「予防」や「養生」といった考え方で対処し、病気の時には病院での「治療」が必要になります。
しかしその中間にある未病の段階では、病院に行っても処置がありませんので薬はありません。また予防的処置だけでは、未病から健康に身体を回復させるだけの力としては不十分なこともあります。そこでこのような場合は、より積極的に未病を治していくという「未病治療」が必要となります。
病院では処置がない未病の段階は上図のように意外に多いものなので、まずは生活の中にこういった未病の段階があるということを知ることが大切になります。そしてさらに必要なのは、病院での検査や経過観測も引き続きしながら、これ以上悪化させないように、そして健康状態へ回復していくために、代替医療、補助的なものを、「未病治療」として積極的に取り入れることが望ましくなります。